辻希美さん

の写真集「のの」をゲット。とにかく、素晴らしい写真集です。良い意味で期待は裏切られました。カメラマンは「katchan」という方で、正直何処の何方かまったく存じ上げないのですが、とてもいい仕事をされていると思います。
僕は辻ちゃんのイメージは一般的には「子供らしさ」、濃いファンには「美人さ」とか「綺麗さ」ということになっていて、今回の写真集もそのどちらかで出来てるんだろうなと思っていましたが、外れでした。これはそのどちらも兼ね備えていますし、またそれに止まってもいません。とどのつまり何でもありの、素晴らしく豊穣なイメージを湛えている写真集になっています。
もしも、この写真集に従来の「辻ちゃん」や「ののたん」を期待し過ぎてしまうと、ひょっとしたら残念に思う方もいるかもしれません。僕はページをめくっていくうちに「この少女は一体誰なのか」と、ふと問いかけたくなりました。そこでは不思議な懐かしさとともに、たくさんの未知の少女たちが、現れては消えていきます。おそらく一般的なアイドル写真集の基準からすればアウトだろうなという写真も沢山あります。アンニュイな表情とか、暗い表情の写真も多いし、太陽が眩しいのか目を細めちゃってる写真もあります。しかし、これはカメラマンの確信犯でしょう。この写真集は、辻ちゃんの気づかれなかった未知の可能性をたくさん切り取っています。そういう意味では、アイドル写真集でありながら、極めて作家性の高い写真集でもあります。
辻ちゃんという存在には世界を色鮮やかに変化させる力があります。その目くるめく魔法の存在に、辻ちゃんファンならそれとなく気付いているかと思います。しかし僕はこの写真集で初めて、その魔法が発揮された瞬間をそのまま体験するという至福の時を過ごすことができました。それは驚きの連続であり、決してこれまでの辻ちゃんファンを安心させてくれるようなものではないかもしれません。しかし、進みましょう。そして見届けましょう。紛れもなくこれは、辻ちゃんファン、必読の写真集です。