それを踏まえたうえで、

僕が思うに、あずまんが大王と今のモーニング娘。はかなり似ているような気がします。昔ならばモーニング娘。が国民的なアイドルかどうか、というのは娘にとって重要な目標で、ファンの関心のかなり中心的な部分を占めていたと思うのですが、いま現在そうしたことはファンとって本当にどうもいいことになっているんではないでしょうか。その代わりにファンにとって前景化してきているのは、それこそ娘たちの微妙で繊細な関係性に「萌え」るということではないかと。昔からあったとはいえ、最近の2chの狼板の手を変え品を変えのカップリングスレの隆盛には目を見張るものがあります。面白いのは、それがアイドルグループのファンの心理だということです。普通ファンならやっぱり自分の推しメンとの一対一の仮想的な恋愛関係に入りそうなものですが、最近ではそうはならない。これは結構大きな変化ではないかと思います。
もっといってしまえば、これは超個人的な感覚が根拠なのですが、モー娘ファンには、モー娘の一員になりたいって気持ちもあるんじゃないかと。僕があずまんが大王を読んで、観て、痛切に感じたのは、男性としてではなくむしろ女性としてその物語世界に入りたいというような気持ちでした。そしてどう考えても、僕は辻希美さんやミキティ田中れいなちゃんやごっちんと恋人になりたいのではなく、むしろ良き「女友達」になりたいといったほうがしっくり来る・・・。そういう風に考えれば、斎藤環先生の言葉を「しかし男子は『モー娘』に萌えることで、それとは知らずに関係性の魅力へと導かれている」という風にアレンジして、それを言葉どおりに捉えて、当事者として繊細微妙な関係性を楽しみたいという娘ファン、ひいてはオタク男子が増えてきている、というように考えることもできなくないかもしれません。